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活動紹介

厚労省が新たな指標を提示 「可視化」「協議」で自由開業を規制か
2019-03-05
カテゴリ:私たちの主張
 2018年7月、医療法・医師法の一部を改正する法律が成立した。これを受けて、都道府県は医療計画に二次医療圏・三次医療圏単位に目標医師数の設定が義務付けられる。医師の地域偏在是正に向け、目標医師数設定にあたって踏まえるべきものさしとして、9月には「医師遍在指標」12月には「外来医師偏在指標」が医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会で示された。
 
「医師偏在指標」とは
 厚労省資料では、地域ごとの医師数比較に現在用いている「人口10万人対医師数」は、医師の地域偏在や診療科偏在を統一的に測るものさしにはならず、新たな指標が必要と述べ、①医療需要および将来の人口・人口構成の変化②へき地等の地理的条件③医師の性別・年齢分布④医師偏在の種別―を考慮して策定されたものが「医師偏在指標」とされている。
 
 9月開催の分科会では現在時点での「医師偏在指標」を明らかにし、2018年度中の指標策定、19年度の都道府県による医師確保計画策定作業、それに基づく20年度からの医師偏在対策の実施というスケジュールを示し、議論を進めている。
 
「外来医師偏在指標」とは
 12月に行われた同分科会ではさらに「外来医師偏在指標」が新たに示された。そもそも改正法には、「地域の外来医療の偏在・不足等への対応」として外来医療機能の偏在・不足等の情報を可視化すべく、二次医療圏を基本とする区域ごとに外来医療関係者による協議の場を設けること等が盛り込まれていた。これが今回の外来医師偏在指標の根拠となっている。
 
 提案された診療所医師の偏在是正策は、都道府県の医師確保計画と同様、2020年度実施が目指される。国は都市部への無床診療所開設の偏り是正に向け、医師全体の偏在を示す医師偏在指標だけでなくより外来医療の実態を踏まえた指標=外来医療の偏在指標が必要であり、指標によって「新規開業希望者等が自主的な経営判断を行うに当たっての有益な情報として」「可視化」することができると述べている。
 
 この指標を全国335の二次医療圏ごとに集計し、上位◯%(19年3月末までに決定)を外来医師多数区域とし、国は都道府県に情報提供する。新規開業希望者は可視化された情報を用いて、自主的な行動変容を促され、それが偏在是正につながるのだという。
 
 遍在への具体的対応案としては、次のことが述べられている。
 
 限られた医療資源を有効に活用する観点から、まずは、地域にどのような医療機能が不足しているか、地域ごとに議論し可視化する。その上で外来医師多数区域では、地域に必要な医療機能を担ってもらう必要がある。そのため協議を行ってもなお、外来医師多数区域で診療所の新規開業を行う場合においては、在宅医療、救急医療、公衆衛生等についての機能を担うように求める。ついては外来医師数多数区域では新規開業者に対する「届出様式」に地域で定める不足医療機能を担うことを合意する旨を記載する欄を設け、協議の場(地域医療構想調整会議でも可)で確認可能にする。合意欄への記載がない場合は会議への出席を求めるとなっている。
 
自由開業規制の始まり
 確かに外来医療の不足する地域への医師確保は必要だが、あまりにも無責任に自由開業規制が論じられている印象が拭えない。
 
 そもそも、日本の医療保険制度は人口減少が著しく、経済が疲弊した地域での医業を成り立たせるのには無理がある。これは日本の医療制度自体が抱える問題であり、医療者の責に帰せられるべきものではない。そのような仕組みの下で民間医療機関を提供体制の基盤としている限り、医療が成立しない地域での医療保障は国の責任において果たす以外方法はない。
 
 医療団体として訴えるべきは、医師自身の開業の動機である。医業が成り立つか否かは開業にあたっての重要なポイントではある。だがそれだけで医師はその地に開業を決断するわけではない。その地に開業し、地域の中で住民の生命と健康を支え、守りたいという気概もなく開業する医師はいない。そうした医師の志が医療を成り立たせ、地域を支え続けてきた。
今回の開業規制はそうした医師の本質をも根本的に否定しかねないし、今後の動向に注視が必要だ。
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