本文へ移動

2018年 歯科衛生士アンケート調査結果

 全国保険医団体連合会(以下、保団連)は2018年、歯科衛生士の雇用改善に向けた取り組みの基礎的資料とすることを目的に、歯科衛生士養成学校生を対象とした「歯科衛生士養成学校生就労意識調査」を実施しました。全国の歯科衛生士養成学校の学生を対象に、2517人(うち道内419人)から回答があり、学生の求める歯科医院像や将来的な就業意識などが明らかになりました。

はじめに

 診療報酬上でも歯科衛生士に対する配置への評価が高まる一方、全国的に就業歯科衛生士の不足や、都市部への偏在など、歯科医療機関での雇用状況は悪化しています。
 今回の調査は、歯科衛生士の人材確保を図る上で、歯科衛生士を目指す学生の意識を把握し、雇用改善に向けた取り組みを進めることを目的に実施されました。
 
 調査は、事前に本会で行ったプレ調査のデータも含めて札幌歯科学院専門学校(111人)、小樽歯科専門学校(53人)、北海道歯科衛生士専門学校(125人)、吉田学園医療歯科専門学校(130人)の学生、合計419人(全国2517人)から回答を得ました。

就労先について

1-1 就労先の探し方
 全国、北海道共に「学校の求人」が約8割、「学校の紹介」が約3割と大勢を占めたものの、「インターネット」の回答が約3割あり、世相を反映した職場探しも増えているようです(図1-1a、1-1b)。
図1-1a
図1-1b
1-2 就労したい場所 
 全国、北海道共に「歯科診療所」との回答が約9割を占め、続いて「病院」「保健所」の順となりました(図1-2a、1-2b)。
図1-2a
図1-2b
 また、「歯科診療所」の規模については、全国、北海道共に8割が「歯科衛生士が複数名の中・大規模診療所」を希望していることが分かりました(図1-2c、1-2d)。
就職後のスキルアップに関する意識が現れた結果ともとれます。
図1-2c
図1-2d
1-3 就労したい地域
 北海道分では「札幌市内」「その他道内」を合わせて約9割、全国でも「地元」8割弱とそれぞれ道内、県内での就労が大半でした。一方、北海道に着目すると、札幌市出身の学生が46.3%であるのに対し、就労したい地域が札幌市との回答が6割を超えており、地元へ帰らず都市部への就労偏在を示す傾向も見られた。都市部以外での歯科衛生士確保が、一層困難となることが懸念されます(図1-3a、1-3b、1-3c)
図1-3a
図1-3b
図1-3c

雇用について

2-1 雇用形態
 全国、北海道共に約9割が「常勤」を希望し「未定」の回答も1割弱程度ありました(図2-1a、1-3b)。。
図2-1a
図2-1b
2-2 就労上重視すること(複数回答)
 全国、北海道共に「給与」との回答が約9割を占めました。次いで「人間関係」、「勤務時間」が7〜8割と突出しており、この三要素が就職先を決めるポイントと考えられます。その他に「福利厚生」など労働条件に関する項目も注目されています(図 2-2a、2-2b)。
図2-2a
図2-2b
2-3 就業上の不安、障害
 全国、北海道共に「人間関係」が7〜8割と最多となりました。次いで「スキル向上」「院長の人柄」などの回答が多い結果となりました。労働条件よりも、院内のコミュニケーションやキャリアアップへの取り組みが、「働きやすさ」として評価されるようです(図2-3a、2-3b)。
 しかし「産休・育休」については、全国の27.5%に対し北海道は18.0%と9.5ポイントも低くなっており、出産後のキャリア継続に関する意識には差がありそうです。
図2-3a
図2-3b

奨学金について

3-1 借り入れの有無
 全国、北海道共に約5割が「奨学金を受けている」と回答しました(図 3-1a、3-1b)。借入額で最多の回答項目は共に「100〜200万円」でしたが、300万円を超える高額の借入は全国に比べ低い傾向にあります。ただ、北海道でも400万円以上の回答が4.0%あり、社会問題化されている就職後の過大な奨学金返済の実態が、歯科衛生士でも起こっていることが明らかになりました(図 3-1c、3-1d)。
図3-1a
図3-1b
図3-1c
図3-1d
3-2 借入先
 全国、北海道共に「日本学生支援機構」がほとんどで全国では8割、北海道では9割程。割合は低いものの、自治体、学校独自の奨学金の順でした(図 3-2a、3-2b)。
図3-2a
図3-2b

就労後について

4-1 結婚・出産・育児にあたっての就労
 全国では「継続して就労を希望する」が45.1%に対し、北海道は40.6%となり、連動して「退職希望」は全国で9.8%に対し北海道は15.5%と有意に高い結果となりました。ライフイベントを迎えることでキャリアを中断する意識が強い傾向があり、「潜在歯科衛生士」が増える可能性を示す結果とも考えられます(図4-1a、4-1b)。
図4-1a
図4-1b
4-2 希望する初任給
 全国、北海道共に歯科衛生士の平均初任給額に近い「20~25万円」が最も多く、全国で62.1%、北海道48.7%で13.4ポイント低い結果となりました。次いで、より低額な「15〜20万円」が全国17.8%に対し、北海道は28.1%で10.3ポイント高くなっており、全国との比較では、希望初任給額のハードルは低くなっています(図4-2a、4-2b)
図4-2a
図4-2b
4-3 仕事を長く続けたいか
 全国は「はい」が62.5%に対し、北海道では53.6%と約10%の違いが見られました。4割の学生が「わからない」と回答しており、離職率への影響も心配される結果となりました。歯科医療の魅力や働きがいを、歯科界全体としてアピールする取り組みがより重要と考えられます(図4-3a、4-3b)。
図4-3a
図4-3b

おわりに

 保団連では、5月10日に本調査の結果をもとに歯科衛生士の就労改善を求め厚労省交渉を実施しました。その要請内容は、歯科衛生士の就業環境改善に向け歯科衛生士のかかわる技術や労働の評価の抜本的見直し、歯科医療費の総枠拡大、出産育児等による離職後の職場復帰の際の研修や、政府主導の給付型・無利子奨学金制度の創設などです。今後は、全国の自治体にも要請活動を行うとしています。
 
 最後に、本調査にご協力いただいた歯科衛生養成学校並びに生徒の皆さんに厚くお礼申し上げます。
TOPへ戻る