本文へ移動
道民にとって
医師・歯科医師にとって
より良い医療を目指して
入会パンフレットはこちらから

活動紹介

医療再生の「試金石」
2025-12-20
カテゴリ:私たちの主張
 
 
 日本の医療現場が、重大な岐路に立たされている。これまで診療報酬の「本体部分改定率」は、物価や人件費、材料費の上昇と概ね連動してきた。しかし、2022年度以降は物価・光熱費・人件費の急騰に改定率が追いつかず、補填不足が顕著となっている。2024年度の本体改定率は+0・88%にとどまり、実際のコスト上昇には遠く及ばなかった。2020~2024年度における医療機関のコスト上昇に対し、診療報酬本体の伸びは5%以上不足していたとの分析もある。

 本稿執筆時点では未定だが、発行時には2026年度診療報酬本体部分改定率が確定しているだろう。今次改定では、物価や人件費の上昇を実勢に即して補填が必要である。関係団体や有識者の間では、過去の補填不足分に加え、近年の急速なインフレを踏まえれば「本体を10%以上引き上げる必要がある」との強い主張が出ていた。

 一方、財政抑制を重視する行政・保険者側は慎重姿勢を崩さず、政府内での財源調整は難航が予想された。2026年度改定をめぐっては、高額療養費制度の見直し、後期高齢者の窓口負担割合の増、医薬品費の抑制策強化など、社会保障全体の再構築と絡む議題が相次ぎ、診療報酬だけでは解決できない医療財政の構造問題が露呈している。

 今次改定は報酬見直しの枠を超え、地域医療構想の実効性確保、医師偏在の是正、医療DX対応など、医療提供体制全体の再設計を問う転換点となる。高齢化が進み医療需要が増す中、診療報酬の適正化は単なる「値上げ論」ではなく、医療の持続可能性を左右する国家的課題である。現実に即した改定を怠れば、地域で必要な医療が受けられない「医療空白地帯」がさらに広がり、命と生活に直結する深刻な事態を招きかねない。政府の医療費抑制一辺倒の姿勢を改め、現場のコスト構造や人材の実態を踏まえた現実的な改定ができるかが問われている。2026年度改定は、日本の医療が再生へ向かうかを左右する「試金石」となる。
TOPへ戻る