活動紹介
医療改善と「損税」の壁
2025-12-05
カテゴリ:私たちの主張
医療経営における喫緊の課題として消費税の「損税」問題がある。これまで「医療に消費税の概念はなじまない」との理由から、保険診療は非課税とされる中で、医薬品や医療機器の仕入に支払う消費税分は全て医療機関の持ち出しとなり、経営を逼迫させる大きな障壁となっている。
我が国の消費税は、1989(平成元)年に最初3%で導入され、1997(平成9)年に5%、「社会保障・税一体改革」として2014(平成26)年に8%、2019(令和元)年に10%と税率が引き上げられてきた。この間、厚労省は消費税引き上げ分について「診療報酬で補填する」としたが、改定率に占める消費税対応分は2014年0.63%、2019年0.41%と算定根拠の開示がないまま低医療費政策で医療機関の経営は窮地に追い込まれてきた。
医療経営における実態は、消費税率が上がるほど損税負担は増大し、特に大規模な医療機関や外科系の診療科など、高額な医療機器の維持や更新を必要とする現場への影響は深刻だ。本会のアンケート調査では、約7割の医療機関が赤字、約6割で医薬品や特定保険医療材料の逆ザヤが明らかとなり、診療報酬の大幅引き上げや適切な税制改正を求める声が8割を超えた。
損税問題の根本的な解決には、中医協での協議に留まらず、本来、消費税に関する法令の解釈や事務運営の調整、企画・立案、指導・監督を所管する国税庁でも具体的な検討を進めるべきではないか。財務省には、経済原理にまかせて自然淘汰的に医療機関の統廃合を進め、地域単位で効率的な医療体制の再編に財源を充てるべきとの意図が透けて見える。しかし、単なる効率化は地域医療の空白や住民の生活不安を招きかねず、医療を受ける人々の生活や安全をどう守るかという視点が強く求められる。
内政の焦点は景気回復と医療制度改革にある。新政権は逼迫する医療経営や国民が必要とする医療提供体制を迅速に改善できるのか。改革への道筋はまだ多くの課題を抱えている。








