本文へ移動
道民にとって
医師・歯科医師にとって
より良い医療を目指して
入会パンフレットはこちらから

活動紹介

高額療養費制度改悪に大義なし
2025-09-05
カテゴリ:私たちの主張
 近年の急速な高齢化や医療技術の進歩に伴い、公的医療保険の財政が悪化している。政府でも給付見直しの議論が進められ、24年12月、現役世代の保険料負担の軽減等を理由に、高額療養費制度の改正方針が決定された。

 25年8月から、1か月あたりの高額療養費制度の自己負担限度額が引き上げられる予定であった。しかし、先の通常国会で患者や家族の強い反対を受けて議論は紛糾し、衆議院で可決した予算案を再修正し、見直しは一時凍結され見送りとなったことは記憶に新しい。当初は、25年8月に現行の所得区分に基づいた引き上げを行ったうえで、26年8月には所得区分を5区分から13区分に細分化し、27年8月に新しい区分に基づき最終的な引き上げが行われる予定であったが、時間をかけて制度の在り方を再検討する機運が高まった。
 
 高額療養費制度は重要なセーフティーネットだ。重篤な疾患で治療を継続している患者にさらなる負担を強いて、財源を捻出する手法そのものが社会保障の概念とは相いれないものであり、公的医療保険の仕組みを根幹から突き崩すものである。自己負担限度額引き上げで「治療を断念せざるを得ない」と思わせるだけでも、今回の制度改悪に大義も道理もない。慢性疾患を抱えている人や、がんの治療中の人を含む長期療養者にとって、高額療養費制度は治療継続の生命線となっており、自己負担限度額の引き上げが治療の断念につながる可能性がある。

 政府は、6月13日に骨太の方針2025を閣議決定し、今年の秋までに見直しの方針を決定する旨を掲げた。参議院選挙後に審議を開始し、医療費抑制に向けて制度の見直しを進めたい狙いがうかがえる。また、少子化対策の財源3・6兆円を確保するため医療・介護の社会保障費を1兆円削減する方針に変更はなく、引き続き注視が必要である。全世代に打撃となる高額療養費制度の改悪は直ちに撤回すべきであり、世論の強い後押しが必要不可欠である。本会では引き続き反対を訴えていく。

TOPへ戻る