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活動紹介

医療DX―受益者なき制度改革の行方
2025-06-20
カテゴリ:私たちの主張
 2025年4月より医療DX推進体制整備加算の運用が見直され、電子処方箋導入体制やマイナ保険証利用率が厳格な評価項目として設定された。これはDXの環境整備・定着化を目的とした政策的な一手とされているが、医療現場への負担は増大し混乱が長期化している。
 そもそも医療DXとは単なるデジタル化ではなく①国民の更なる健康増進②切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供③医療機関等の業務効率化④システム人材等の有効活用⑤医療情報の二次利用の環境整備の5点を目指すものとされる。飽くまでこれらを実現するための方法論の一つに過ぎないデジタル環境の整備が、あたかも到達目標であるかのように取り沙汰されているのが現状だ。こうした本末転倒が起こる背景には、現場負担が大きく国の実効支援が乏しい実態がある。低迷する電子カルテや電子処方箋の導入率を受け、国は2025年度に向けて医療情報化支援基金や導入補助、標準型電子カルテ等クラウド型システムの普及支援、ベンダーへの機能実装要請など、包括的な推進策を講じているというが、後手に回った感が否めない。医療機関にとっては高額な導入維持コスト、IT人材不足や情報リテラシーの課題は眼前に迫る一方で、最終受益者たる国民の健康増進を達成する未来は描けずにいる。
 医療DXは本来、2040年問題に向けた社会保障改革の中核を担うべきものである。その役割を真に果たすためには、医療従事者と患者を中心に据えた制度設計への転換とともに、国によるプラットフォーム整備や人材育成への政策的投資が不可欠である。医療DX推進体制整備加算は、その定着と成果を評価する段階でこそ機能すべきものであり、「導入すれば加算が取れる」といった餌のような位置に据えるものではない。このパラドックスは医療機関に負担を強いる現在の進め方が起こしたシステムエラーと言えよう。現場医療者にとって実現困難な施策を行えば、その利益が患者に届かないのは自明の理だ。
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