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活動紹介

財務省 費用対効果による保険外し提案
2019-05-21
カテゴリ:私たちの主張
国民皆保険制度 破壊を許すな
 
 4月23日の財政制度等審議会・財政制度分科会において、財務省主計局が医療分野に対して主張を行った。その中で費用対効果を用いた高額医薬品の保険外し、受診時定額負担の導入などが提案され、一部の民間議員からは賛同の声も上がった。我が国の国民皆保険制度を根本から揺るがす主張であり、断じて容認できるものではない。
 
「経済性」による切り捨てが

 我が国の国民皆保険制度では、安全性及び有効性が確認された医薬品や医療技術は、原則として保険収載される。しかし、今回財務省は「費用対効果や財政影響などの経済性の面からの評価も踏まえて、保険収載の可否も含め公的保険での対応の在り方を決める仕組みとしていくべき」と主張した。その上で、保険収載とならなかった医薬品については「安全性・有効性があれば保険外併用療養制度により柔軟に対応するか否かの検討を行うべき。その際、経済性の面から評価に見合う価格までは保険適用と同等の給付を行う新たな受け皿の類型(保険外併用療養制度の柔軟化)を設定すべき」と提案した。

 すなわち、保険診療に費用対効果の考え方を新たに導入し、費用対効果の面から「評価に見合う価格」までは保険適用とし、その価格を上回る部分は全額自己負担として保険から外す、というものである。
 
費用対効果とは
 
 すでに中医協において、質調整生存年(QALY)と、増分費用対効果(ICER)を用いた費用対効果による薬価等の試行的な分析が行われている。QALYとは、生存期間を、生活の質を表す効用値(1~0)で重み付けしたもので、ICERとは、既存治療に比べて1QALY延長するために必要な追加費用のことである。たとえば、既存薬Aに比べて、完全に健康な(効用値=1)寿命を2年延長(2QALYの延長)できる新薬Bが存在し、そのB薬を用いる総費用がA薬に比べて200万円高いとすると、ICERは100万円/QALYとなる。

 中医協ではすでに13品目のQALYおよびICERによる検証が行われており、たとえばダクルインザ錠・スンベプラカプセルのICERは、C型慢性肝炎で500万円/QALY未満、オプジーボの非扁平上皮非小細胞肺がんでは1500万円/QALY以上と報告されている。
 
導入による危険性
 
 すでに中医協では、費用対効果を用いた薬剤の価格調整の準備に入っているが、いくらまでなら費用対効果に優れていると判断できるのか。中医協は、一昨年「あと1年健康に生きられるなら、公的保険でいくらまで負担すべきか」と患者や国民に問う「支払い意思額」の調査を行い、評価基準を設定しようとした。調査は実際には行われなかったが、このような調査は人道的にも許されるものではなく「命の値段」を一律に設定するもので到底容認できない。
 
 有効性・安全性が確認された医薬品や医療技術は今
後とも保険収載されるべきであり、保険外併用療養制度の拡大による対応は、医療格差を拡げるもので認めるわけにはいかない。オプジーボに象徴される諸外国に比べ異常に高い薬価設定や、不透明な薬価算定に切り込むことで対応すべきである。
 
受診時定額負担の提案も
 
 また、財務省は「少額外来の受診等に一定程度の追加負担を求めていくべき。その際、かかりつけ医やかかりつけ薬局への患者の誘導策として定額負担に差を設定することについても、検討を進めるべき」と主張した。

 言うまでも無く、受診時定額負担は再三議論の俎上に上がってきたが、我々の国民も巻き込んだ反対運動により導入を断念させてきた。繰り返しなされる「受診時定額負担」の提案に対しては、粘り強くノーを突きつけていく必要がある。また「かかりつけ医」を理由に、フリーアクセスの制限が行われる危険性も孕んでおり、今後とも注視が必要である。
 
◇ ◇ ◇
 
 財務省は公的医療費の縮小を目論み、費用対効果を用いた保険給付の縮小、受診時定額負担等の国民皆保険制度を根底から揺るがしかねない提案を行っている。本会は、保険医が安心して国民皆保険制度のもとで医療を行えるよう、今後とも粘り強く活動を継続していく
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