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活動紹介

社会保障の削減を許すな 財務省が「秋の建議」をまとめる
2018-12-20
カテゴリ:私たちの主張
 財務省は、10月9日の財政制度等審議会・財政制度分科会で医療分野に対する主張を示した。さらに、同分科会は、11月20日に2019年度予算編成に向けた「秋の建議」をまとめ、社会保障費の抑制をあらためて主張した。国民の健康を軽視した内容であり、容認できるものではない。
 
 費用対効果による保険外し
 財政制度分科会では、新たな医薬品・医療技術の取り扱いに触れ「安全性や有効性に加え、費用対効果や財政影響の面からの評価も踏まえて、保険収載の可否を含めて公的保険での対応の在り方を決める仕組みとしていくべき」とした。さらに、原価計算方式で算定された医薬品については「費用対効果評価を義務づけ、
費用対効果が『悪い』ものについては、保険収載を見送る」か「費用対効果に見合う水準に至るまで当該医薬品の薬価を引き下げる」ことを主張した。
 医療費抑制の目的で費用対効果を持ち出し、機械的に保険外しを行うことは国民の健康に悪影響を及ぼしかねない。安全性と有効性が確認された治療法は原則として保険収載するという我が国の国民皆保険制度の基本を覆す主張であり、今後の議論を注視していく必要がある。
 
 繰り返される受信時定額負担
 繰り返し議論の俎上に上がってきた「受診時定額負担」にも言及している。主張によれば「わが国の外来受診頻度は高く、多くは少額受診」とし「比較的軽微な受診について、一定の追加負担は必要なのではないか」としている。また、かかりつけ医やかかりつけ薬局への患者の誘導策として、定額負担に差を設定することにも踏み込んでいる。加えて、薬剤自己負担について、薬剤の種類に応じた保険償還率の設定や一定額までの全額自己負担も示した。さらに「世代間の公平性や制度の持続可能性」を理由に、後期高齢者の自己負担を2割に増やすことも主張した。
 
 受診時抑制がさらに拡大
 国立社会保障・人口問題研究所が今年実施した調査では、必要な受診をしなかった理由の二割が「お金が払えなかった」であった。現在でも受診抑制は深刻な問題となっている。受診時定額負担や薬剤の保険外しが行われれば、受診抑制がさらに拡大することは明らかである。また、かかりつけ医をゲートキーパーとして、フリーアクセスを制限することは、受診抑制と共に疾患の重症化をもたらし、国民の健康に重大な悪影響を及ぼす。
 受診時定額負担については、何度も議論されてきたが、そのたびに医療関係者のみならず国民を巻き込んだ大きな反発で導入が断念されてきた。過去には実現困難と思われても、長い年月をかけて実現してきた改悪も数多くある。受診時定額負担も何度も繰り返し提案されてきており、注意が必要である。われわれは根気強くノーを突きつけ、絶対に実現させてはならない。
 
 社会保障費の抑制継続を提言
 財政審の議論を受けて、11月20日にとりまとめられた「秋の建議」では、社会保障費の伸びについて、年間5000億円に抑制してきたことを「達成してきた」と振り返るとともに「骨太の方針2018」の新経済・財政計画における基盤強化期間1年目である19年度についても「『高齢化による増加分に相当する水準に収める』という方針の下、決して財政健全化の手綱を緩めることなく、これまでと同様改革を実現していく必要がある」と提言した。また、日本の社会保障が、保険料より公費への依存が増してきていることを問題視した上で「受益と負担の対応関係が断ち切られており、給付の増大がわが国財政の悪化の最大の要因となっている」と記した。
 
 ◇ ◇ ◇
 
 医療をはじめとした社会保障は、社会的共通資本であり、国を発展させるための基本的な要素である。社会保障費の機械的な削減・抑制により医療の現場はもはや限界を超えている。国は、社会保障の充実に大きく舵を切り、十分な財源を確保すべきである。国民が安心して医療を受けられ、われわれ医療者も安心して医療を提供できる体制が維持されるよう、今後も活動を続けていく。
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