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北海道保険医新聞より
解説
 

保団連夏季セミナー

講座1
日本の医療システムがなぜ崩壊に瀕しているのか、どうすべきか
―財源問題、消費税問題を考える―

講師:菊池英博 日本金融財政研究所長

 医療崩壊の問題は、次期衆院選の重要な争点の一つになると言われており、とりわけその財源問題に対しては大きな関心が集まっているところである。それを反映し、会場には百二十名近い参加があり熱気あふれる講座となった。

 菊池氏の論点は、以下の通りである。@医療や年金、生活保護費、社会福祉費といった社会保障関係費は、景気動向に関係なく、国民にとって必要な経費であるA日本の「財政危機」の主犯は、医療費ではない。二〇〇一年からの小泉構造改革によって、日本経済が低迷を続け、税収が激減したことが、最大の原因である。政府はこの自らの失敗のツケを、医療費に回した上で大増税を行おうとしているB日本の「財政危機」は、緊縮財政や増税では解決できない。この「財政危機」という罠から脱して、医療費を増額して医療システムの崩壊を阻止するとともに、財政も健全化させてゆく必要があるC日本は三百兆円を超える世界最大の債権国(海外にお金を貸し出している国)であり、アメリカ国債を約九十兆円購入している。これらの「日本国民のおカネ」を日本国民のために使えば、経済が活性化し、成長する。そうすれば、税収が増加し、増税なしで、医療費も年金も、支給が可能である。

 以上、まことに明快な論理であり、あとは「われわれの社会的行動にかかっている」ということなのであろう。

(理事 高橋康幸)

講座3
08年歯科診療報酬改定と今後の課題
提案者:池 潤 保団連理事

 史上最悪といわれた〇六年度の歯科診療報酬改定は、歯科医学的根拠および臨床現場の実態への認識を欠き、多くの義務や規則を導入するなど歯科医療経営を一層厳しくした。今次〇八年度改定では、正当に評価された点数とはなっていないものの、一部の点数構成や考え方は臨床医の理解しやすいものとなった。しかし、今日の歯科医療崩壊を食い止めるには程遠い内容であり、過去数回の改定によって生じた不合理を是正するには至っていない。

 そこで先ず今次改定の主な内容として、@歯科固有の技術料の引き上げA医学的根拠のない包括B新たな長期継続管理体系の導入C歯周病治療体系の見直しD先進医療技術の導入E新規医療技術の保険導入F歯冠修復・欠損補綴に係る技術料の見直しG0.42%の上げ幅に関して、多角的な分析・評価を行い、今次改定の問題点の改善に向けた早急な厚労省要請活動を行うことが必要と確認された。

 次に次期(二年後)改定に向けた課題として、過去の引き下げ分をカバーする大幅な診療報酬アップの要求、医療費全体の大幅増を目指すこと、そしてそのための財源を明確に提示することなど、新たな取り組みをスタートさせなければならないことが確認された。

 最後に「混合診療」に関しては、保団連として反対の立場であるが、厚労省、各種団体、都道府県、個人などによりスタンスが異なっている。昨今の状況を鑑みると、改めて各保険医協会で徹底的に議論を深めていくよう提案された。

(部員 小松秀彦)

講座4
後期高齢者医療制度・医療費適正化計画・新医療計画
―現状と課題、今後の運動

報告・提案者:大竹 進、垣田さち子、井上博之 保団連理事

 「後期高齢者医療制度は『団塊うば捨て山』」では、高齢者医療制度のポイントと、五つの問題点について報告があった。@自己負担割合と高額医療上限の据え置かれていた七十歳以上の負担が今後増える事A六十五歳以上の障害者が自動的に加入させられてしまった問題B終末期医療の見直しC包括制、登録制への動き、主病ルールなど多くの問題をはらんだ後期高齢者診療料D医療から介護へ強制的な移行が進められている、等について明快な解説があり、団体・個人が結集して次の医療制度の再構築を目指してほしいと締めくくった。

 「都道府県医療費適正化計画・新医療計画について」 では医療費適正化への最大の障害は「生活習慣病」と「入院医療費」であり、そのための施策として特定健診・特定保健指導、療養病床の再編・転換、平均在院日数の短縮を図っている事について解説した。

 「本来なら『医療費適正化計画』には歯科の計画が必要」 では、健康の保持や疾病の予防がされてこそ本来の意味の医療費適正化が実る、として歯科の立場からの提案がなされた。

(理事 遠山三四夏)

分科会
過重勤務・診療関連死など勤務医を巡る状況と開業医との連携を含む今後の運動
報告・提案者:板井 八重子、斉藤みち子、中村厚 保団連理事、市原透 愛知協会勤務医委員会委員

 今年一月の第四十一回保団連大会で確認された「勤務医対策組織的対応について」に基づいて、今回の第三十八回夏季セミナーで分科会が催された。歴史的には昭和六十一年の第二十三回保団連総会で開業医と勤務医の会費区分を設け、勤務医を開業予備群と位置づけた。平成九年に「勤務医対策検討プロジェクトチーム」による中間報告がされ連携を強めるとの確認を行った。平成十六年の第三十九回大会方針で勤務医問題を重点課題の一つとし、翌年には「勤務医検討チーム会議」を発足させ、前述の第四十一回大会に至る。その後、三月には勤務医部会設置を見据えた「各協会勤務医部会・委員会交流会」が開催されている。

 このような中、全国医師連盟の設立、日医が勤務医・女性医師の意見を反映させる「医師の団結を目指す委員会」を立ち上げる等の動きもあり、保団連は勤務医会員対策を一層加速させている。具体的には、「医療崩壊を止めるための勤務医の労働環境実態調査」「勤務医対策重視の診療報酬改善運動」「医療事故調査委員会問題の勤務医からの視点」等々とし、問題を検討する委員会を設置して取り組みを強化するとしている。

 しかし、保団連の中には、会員資格を保険医とだけ明記し運営されてきた本会のような組織ばかりではなく、保団連主導で立ち上がってきた歴史の浅い協会には勤務医会員の占める割合が小さいところもあり偏りがある。保団連は勤務医会員の拡大をすすめるとしており、多方面から多数が入会して勤務医部会が発足することを期待する。

(事務局長 佐藤広司)


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