PICUP

北海道保険医新聞より
解説
 

レセプト電算処理歯科システムの概要

 歯科においては一部の例外を除き、平成二十三年四月からレセプトオンライン請求が義務化となる。厚生労働省は六月二十五日、オンライン請求を行う上で前提となるレセプト電算処理歯科システムの骨格を公表した。今回、その概要を解説する。

法的根拠
 健康保険法第七十六条に保険医療機関等の請求権が明記され、第六項で「療養の給付に関する費用の請求に関して必要な事項は厚労省令で定める」ことが示されている。平成十八年に請求省令が改正され(厚労省令第一一一号)、保険医療機関等が審査支払機関にレセプトを提出する際には、電子情報処理組織(オンライン)によることが原則となった。これがレセプトオンライン請求の法的根拠である。

レセプト電算処理歯科システム
 保険医療機関等がオンライン請求を行うためには、各医療機関のレセコンからオンライン接続用パソコンにオフライン(CD-RあるいはFD)でレセプト情報を受け渡す必要がある。レセプト情報は、一連のコードの塊となったデータ(電子レセプトデータ)でなければならない。電子レセプトを作成する仕組みがレセプト電算処理システム(以下、レセ電)であり、その歯科版がレセプト電算処理歯科システム(以下、歯科レセ電)である。
 六月十八日、厚労省、日歯、支払基金本部、国保中央会の四者間で歯科レセ電の骨格について合意が得られたことから、厚労省は六月二十五日、歯科レセ電の記録条件仕様、標準仕様、マスターファイル仕様説明書および基本マスターの暫定版を公表した。

仕様書の内容
一.請求に係る記録条件仕様
 電子レセプトの規格や授受方法、また、記録する項目内容、記録順序、長さ、属性などファイルの構成を定めたもの。
 記録形式はMS-DOSフォーマットのCSV形式とする。記録媒体はCD-RあるいはFDを用いる。請求ファイルは改行コードにより複数レコードに分割し、レコードの組合せにて構成する(図)。

二.請求に係る標準仕様
 歯科レセプトコンピュータによって電子レセプトを作成する際のエラーチェック等の仕様に一定の基準を定めたもの。具体的事項として、自動加算・自動算定事項、チェック事項、警報事項および算定ロジック事項がある。

三.マスターファイル仕様説明書
 歯科レセ電で使用する基本マスターの構成等を解説したもの。本編、別紙関係およびファイルレイアウトからなる。

四.基本マスター
 歯科レセ電で使用するマスターの種類を表1に示す。歯式マスター(表2)と歯科診療行為マスターは歯科独自マスターとして構築し、その他のマスターは医科、DPCおよび調剤システムで使用しているマスターを共通利用する。
 歯科診療行為マスターには歯科点数表として告示されているものだけを収載する。医科点数表を準用する診療行為については、医科診療行為マスターを使用する。

歯科レセ電の今後
 今後、仕様が確定し、電子レセプト作成の手引きが公表される。年末にかけてプログラムの開発と試験が行われる。来年一月から確認試験が開始され、三月にレセプト電算処理歯科システムの開発が完了し、電子レセプトの受け入れ開始が予定されている。電子媒体によるレセプトの受付は、医科および調剤と同様に、環境が整った歯科医療機関が順次参加する、いわゆる「手挙げ方式」でスタートする。
 歯科点数表は現在も相当複雑であり、徹底した包括化を行わない限り、オンライン請求は不可能と考えられていたが、歯科レセ電の仕様書が公表されことで、オンライン請求に向けた対応が大きく進んだものと推測される。
 歯科各種マスターや標準仕様・記録条件仕様の策定には、保健医療福祉情報システム工業会(注)が全面的に協力している。JAHISの医事コンピュータ部会歯科システム委員会歯科電子レセ分科会が実質的な検討と具体的作業を行っていると考えられる。歯科システム委員会は、平成十七年に歯科レセ電推進のための活動を開始し、厚労省・日歯・支払基金本部・国保中央会の四者による定例会議の開催を促し、平成二十年度中のシステム実施に目処を付けた。

問題点
 第一の問題は、「審査の自動化」の危険性である。首相直轄の審議会である「IT戦略本部」の医療評価委員会が先般まとめた報告書によれば、オンライン請求の先に目指しているのは「解釈不要」の点数表と「機械化」された審査システムである。そのための要件として、「機械で判読可能な電子点数表」と「審査ロジック、審査基準の標準化」を挙げている。前者については医科においてもまだ存在しないのが現状である。
 第二は、「導入費用」である。既にレセコンがある歯科医療機関でも、その導入時期によっては歯科レセ電への対応が出来ず、買い替えやリースにより、新たに莫大な費用がかかってくることが想定される。

今後の課題
 レセプトオンライン請求義務化まで残すところ二年半となった。七月に公表された政府の規制改革会議「中間とりまとめ」にもあるように、「審査の自動化」に向けた政治的な圧力が相当強まってきている。医学的判断を自動化することは医療の在り方そのものを変えてしまう。
 「審査の自動化」により個々の医学的判断が軽視されることがないよう、医師・歯科医師の裁量権を守るための強力な活動が必要である。


インデックスページへ


BACK TO TOP PAGE


プロフィール

入会のご案内

活動の紹介

北海道保険医新聞より

メールニュース

市民の健康相談コーナー

書籍紹介

関連サイトリンク



会員のページ



※パスワードをお知りになりたい方は、事務局までお問合せください。(会員のみ)

お問い合わせ御意見等は下記の
メールアドレスへどうぞ。
E-mail:
hokkai-h@doc-net.or.jp