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北海道保険医新聞より 
会員投稿
  自分としては珍しく続いている趣味」
札幌支部 北郷整形外科医院 吉崎 隆

 先輩たちにワインの大家が大勢いることも露知らずに…。
 フランス・ワールドカップ・ツアーをきっかけに、ワインを少しずつ飲み始めました。右も左もわからぬまま、市内のいくつかのワインショップに顔を出し、店員さんの勧められるままに飲み続け、ボルドーワイン、イタリアワイン、新世界ワイン、ブルゴーニュワイン、そしてとうとうシャンパーニュにまで手を出してしまいました。特に、フランスワインはまるで産地の畑を塗りつぶすように飲んでいました。しかしながらもとより繊細な味覚の分析能力に欠ける自分にはあまり有効な方法とも思えず、まあそれでも良いかと、気楽な日々を過ごしていました。仲良くなったワイン愛好家との毎月の持ち寄りワイン会も楽しみですし、改めて人の趣向の幅広さを感じ、人生勉強の場にもなっています。

 この間、一緒に飲んでいた店員の皆さんは、それぞれソムリエ、ワインアドバイザーになり、各方面で立派に活躍中なのが、私の食文化にとっての一番の収穫でした。お陰様で、今では市内に気軽に行けるお店が多数出来ています。

 ワインの業界は、一九八〇年代の当たり年の連続、ボジョレー・ヌーボー騒動、世紀年二〇〇〇年、ビオディナミ・ワイン等々話題が豊富。マスコミやワインメーカーに踊らされ、毎年日本の輸入ワインの消費量は増え続け、ワインの値段も鰻登り。ただただ呆れるばかりで、今年はとうとう私の手の届かないまでに暴騰してしまいました(医療業界とは違います)。

 先日、妻とふたりで開業二十周年の一生の思い出に、某レストランにてあの憧れの'ロマネ・コンティ'を'ロマネ・コンティ'という名のグラスで飲みました(残念ながらその味はよく表現できません)。

 楽しい思い出と引き換えに、さんざん散財して、やっと気づいたことといえば、「普段はディリー・ワインで十分、禁酒日を守り、週に数日楽しく飲めれば良い」、「良い(概してすごく高い)ワインは、農民の努力の結晶で、何かの記念日に、大事な人と、それなりの場所で飲むべきである」という最初に店員さんに言われた極々平凡なことでした。


 

「一病息災」
札幌支部 勤医協札幌ふしこ歯科診療所 遠藤高弘

 やんちゃの至りで骨折した以外は「無病息災」の人生だった。今年の始めまでは…。
まだ深い雪が道路を狭めていた二月、一時間かけて訪れた大学病院での造影MRI撮影後、否定しようがない画像を見せられ「えっ?」と頭のなかで声にならない声を上げた。

 それは自覚症状から考えられうる最悪に近い結果で、家庭のこと、職場のこと、自分の人生のことがめまぐるしく頭の中で逡巡した。今思えば、ずいぶん冷静に動いていたようで、入院までの二週間は身辺整理であまりにも忙しく、疾患の理解や受容もままならず拒絶したい・逃れたい心境もないまぜになりながら刑務所にでも入るような心境で病院を訪れた。
入院受付所は不安と焦燥が入り交じった空気に包まれ、さながら人生の縮図である。

 体の不調を抱えながらも入院手続きや医療費の心配をしつつ、一人で身の回りの準備を行ったような初老の男性なども目に付く。そういう点では、完璧な準備を行ってくれた妻に対する感謝を、私はずっと忘れないだろう。
手術五日前に外泊許可をいただいて家族で居酒屋へ行き、ボクシング内藤選手の試合前の顔を見てその後ずっと涙が止まらなくなってしまった。月並みだがこの時初めて「病」とは自分自身との闘いであることを心から理解し、精神的に一山越えた。

 その後手術が予定通り終了して無事退院し、今自宅療養の最中原稿を書いている。

 もし私が資格証明書を発行されていたら約百六十万円の医療費の支払い、もし個人開業医で共済にも入っていなかったら最低二か月は収入「〇」、もし生まれた国が戦闘中の後進国ならあるいは時期が数十年前なら、失明して認識の異常や体幹の麻痺を起こし、激しい頭痛のなかでのたれ死んでいただろう。そう考えるとわが国の作り上げてきた医療や社会保障制度・平和の素晴らしさを、心の底から守りたくなる貴重な体験であった。


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