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北海道保険医新聞より 
会員投稿
 

「医療IT化のお寒い現実」
札幌支部 玄気堂桑園内科クリニック 杉本 久

 開院から三年、電子カルテをやめ紙カルテに戻すことを決断しました。大病院のオーダリングシステムはまた別だと思いますが、開業医にとっての医療IT化は大変にお寒い現実です。電子カルテに興味がある会員諸氏の参考までに?末を述べます。

 開院時に日本医師会推奨の医事ソフト「オルカ」と連動する電子カルテを札幌の業者に作ってもらいました。紙カルテに近い感覚で使い勝手はよかったのですが二年経ってもバグの連発で業務に支障を来たし、とうとう一ヶ月分の患者データが消失する危機に直面して、その業者とは手を切りました。救いの神として現れたA社の電子カルテにデータを移して使うことにしました。A社はオルカの公認サポート業者です。

 オルカにはそれまでも入力に難点を感じていましたが、前の業者が公認サポート業者でなかったためと思っていました。ところがA社に替わって逆にトラブル頻発です。最初は電子カルテと連動する部分のソフトを修正していなかったのが原因と説明されましたが、その後もバージョンアップの度に必ず動かなくなるのですからたまったものではありません。四月の大改定ではインスリン自己注射の針の名称と入力コードが変わっていることにオルカのソフトが対応しておらず、患者さんを前に入力できなくなり冷や汗三斗でした。どうしてユーザーに入力コードの変更を伝えないのかA社に問い質したところ「変更になっているかどうかはトラブルが起こらないと分からない」と、耳を疑う返答です。

 患者さんと話しながらでは入力しづらいのは電子カルテ共通の欠陥とあきらめ、自由入力のスペースが極端に小さいためnarrative medicineには使い物にならないこともデータ継承のために目をつぶってA社の製品を使うつもりでしたが、この間の対応に呆れ果てました。開業医にとっての医療のIT化なるものは、医療現場に関する見識どころか一般社会常識にも欠けるコンピューターオタクが一儲けを企んで群がっているのが現実と理解しました。このような連中との消耗戦が馬鹿馬鹿しくなり、電子カルテそのものをやめる次第です。これから日本医師会にオルカのサポートについて確認し、オルカ自体に問題があるならレセコンソフトごと変えなければいけないと覚悟を新たにしています。

 

「創立60周年」
むかわ町 穂別歯科診療所 鵜野修次

 色々と考えている事は有ることは有るのですが内容が愚痴っぽくなってしまっては読んで下さる方々の顰蹙を買うでしょう。そうしない様にと何について書こうか考えていたところ、ちょうど今年は苫小牧歯科医師会の創立六十周年にあたることをふと思い出しました。ちょうどタイミングが良いので苫歯会の宣伝をさせていただこうなんて調子の良いことをつい考えてしまいました。

 苫歯会は一市六町で構成されていましたが、市町村合併が進んで六町が四町となり現在は苫小牧、日老町、厚真町、むかわ町、安平町の歯科医師によって運営されています。むかわ町は、旧穂別町と旧武川町が合併して出来た町で穂別歯科診療所の名前の由来はそこからのものです。穂別町の名前は消滅してしまいましたが、道新の配慮なのかその朝刊天気欄等に僅かに痕跡は残されています。そんなこんなで我が苫歯会は創立六十年目を迎えるのです。六十年前の事など想像すら出来ません。私の記憶の確かなところは精々四十年程度でしょうか。その間の移り変わり様変わりの有り様から、二十年ものギャップは計り知れない大きさに思えてしまいます。尚更会に入会してまだ十五年、優に四十五年間の開きがあります。想像すら出来ません、創立当初のことは。子供時代には穂別町が名前でも消滅することになるとは思いもよらないことだったのですから。私はこの穂別町で生まれ育ったのです。

 しかしながら、苫歯会は六十年間に、その時々に応じて、出来得る限り精一杯の事を行って来たはずで、その事に思い及ぶとき実感として自ずと頭が垂れます。AEDもそうでありましょう。医科としては当然なのでしょうが、診療報酬上も医科以上に恵まれない歯科としては、道内で初めて全会員へ配布したのが苫歯会だったのです。というわけで苫歯会の宣伝というか自慢をさせていただきました。しかし、前述は決して明るいとも限らず全く想像も出来ませんが。何やら歯科には次の唄がしっくりくるかもしれません。
 憂きことのなおこの上に積まれかし限りある身の力ためさん 山中歯科之介否鹿之助
 結局顰蹙かってしまったかも。


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