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北海道保険医新聞より
時論
 

国の責任放棄

次期診療報酬改定の概要が見えてきた。今年は医療制度改革の最終段階と言われてきた年である。

 この二十年間日本人の生活は変わってきたが、果たして安定したと言えるのだろうか。社会の格差はかつてないほど拡大し、生活に不安を抱える人々が増えてきている。

 この間、政府は国民を省みず「小さな政府」を目指した。これは、経済学で言う伝統的な自由主義に根ざし、個人の自己責任を尊重し、国家の経済における介入を最小限にすることを意味している。
政治家はこの「小さな政府」に国民の幸福を夢見たのであろうか。自由競争により市場効率が高まり、経済が成長しただろうか。規制緩和、民営化により政府の負担は減った一方で、国民の負担は軽くなっただろうか。結果はどれも逆である。つまり、それの意味するものは、国の足枷を取り除き、責任を放棄することであった。しかも国の責任放棄には、セーフティネットである医療も含まれていた。医療機関は度重なるマイナス改定で年々疲弊し、国民の健康への不安が増している。

 日本の医療保険制度、皆保険制度は崩壊寸前である。医療における「現物給付」が国にとって、負担となっている。健保法第六三条では、「療養の給付」が「現物給付」されることが謳われている。今年一月、生命保険の現物給付解禁が見送られた。同解禁は、公的保険の縮小と民間保険の拡大を意味する。民間保険による現物給付は、国民の健康を守るべく制定された法律の裏づけがないことから、現物給付制度のみならず、皆保険制度、フリーアクセスのシステムをも崩壊させかねない。今回の見送りは、保険法上の問題が原因であり、公的医療保険の給付システムに対する弊害は議論の対象にならなかった。

 このような医療保障制度の根幹を揺るがす制度改悪は、医療関係者、患者を問わず、国民の総意として反対しなければならない。本会は今後も山積する問題改善に向け、活動を強化する。読者のご協力を切望する。



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