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オンライン請求義務化で「開業医を辞める」が二割に
本会調査 不合理な費用負担に怒り噴出
昨年十二月、診療報酬のオンライン請求義務化について、医科・歯科の開業医会員を対象にアンケート調査を行った。
調査では義務化に伴い「開業医を辞める」との回答が約二割(医科の七十歳以上は四割)に及んだ。オンライン化への対応を不能とする理由として、導入費用の問題を上げる回答が最も多く、一方的な押し付け政策に憤りの声が寄せられている。
診療報酬のオンライン請求義務化は、昨年四月の省令改正に伴い既に実施が決定され、平成二十三年四月からはオンラインによる方法に限定され、これまでの紙レセプトの請求は原則として認められなくなる。
診療所でレセプト件数が医科で年間一、二〇〇件以下、歯科で六〇〇件以下の医療機関は二年間の経過措置が設けられているが、平成二十五年四月からの完全実施が決定している。
義務化に伴い人員や技術的な面から対応が困難とする医療機関も多く、廃業など結果的に地域医療に重大な影響をもたらす可能性も指摘されることから、本会では会員に義務化への対応見通しなどについて意識調査を行った。
調査は本会の開業医会員二、六六〇名を対象に実施し、回答数は三五五件(回収率一三・三%)であった。
(一)会員区分は
医科会員が六五%、歯科会員が三五%の内訳となった。
(二)所属地区は
札幌市内が四九%、札幌市以外は五一%とほぼ半数ずつの結果となった。
(三)年齢は
五十代が最多層だったものの、七十代以上も全体の一六・六%を占め、医科に限ると二三・八%と高く、高齢層での関心の高さが示された。
(四)開業形態は(医科)
無床診療所が七七・九%、有床診療所が一六・八%、病院が五・三%であった。
(五)レセコンは導入されていますか
「導入している」が七八・三%、「導入していない(手書き)」が二一・六%となった。医科、歯科別でもほぼ同じような結果となっている。この二割の医療機関では、レセコン導入の費用負担や操作方法の習得など経済的、人員的な負担が新たに求められることとなる。
(六)直近の年平均のレセプト枚数は何件ですか
二年間の経過措置対象の割合を調べるものだ。医科では「一、二〇〇件未満」との回答が一二・四%、歯科では「六〇〇件未満」が二三・一%と、歯科で若干多い数字となった。これらの医療機関は平成二十五年度まで実施が猶予される。
(七)オンライン請求義務化は平成二十三年四月から(経過措置対象は平成二十五年四月から)ですが、対応できますか(図1)
「対応できる」が三九・五%、「対応できない」二七・六%、「分からない」が三三・〇%であった。「対応できる」とする回答が全体で約四割となったが、医科・歯科別に見ると医科の四五・四%に対し、歯科では二八・五%と差が見られた。システム等の体制整備に関して、歯科会員がより不安を抱く結果が示されている。歯科の場合、スタッフが診療補助と窓口業務を兼務するケースも多く、請求事務へ充てる時間が十分確保できないという事情も一因として考えられる。

(八)オンライン請求が義務化された場合、開業医を続けますか(図2)
「開業医を続ける」が七二・四%、「開業医を辞める」が一八・三%、「後継者へ継承する」が一・七%、「勤務医になる」が一・一%、「その他」六・五%となった。医科、歯科別に見ると「開業医を続ける」は歯科では七九・〇%であるのに対し、医科では六八・八%と一〇ポイント以上の差が見られた。一方、「開業医を辞める」は歯科では一二・九%にとどまったものの、医科で二一・二%と二割を超えた。特に医科の七十歳代以上では、四三・六%と高率で、オンライン義務化を契機に就業形態を見直したいとする会員が多いことが明らかになった。

(九)「開業医を続ける」と回答された先生以外の先生にお聞きします。その理由は(複数回答)(図3)
「費用を用意できない」を筆頭に、「操作に対応できない」「人員が確保できない」「設置場所が確保できない」の順となった。先に述べたように、レセコン未導入の医療機関では相当額の初期投資が必要で、診療報酬改定毎のソフト変換の費用等、ランニングコストも新たな負担となる。また、既にレセコン導入済みの医療機関でもシステム上の対応が必要とされ、一定の費用負担が生じるようだ。
記述意見の中でも、「公的援助もなく、行政の都合で一方的に負担を強いられるのは不条理」とする経済的負担への不満が数多く寄せられた。診療報酬が低く抑えられ充分な事業資金を捻出出来ない中、多額の費用負担はまさに死活問題ともいえる。さらに、技術面への対応はもとより、傷病名の整理やデータ整備作業なども合わせて必要となり、省力化どころかマンパワーの充足が要求される場合もある。セキュリティーの問題に不安を感じる意見も多い。
今回の調査ではオンライン請求義務化を機に「開業医を辞める」とする会員が約二割に上る結果となり、事態の深刻さが浮き彫りになった。医師不足による地域医療の崩壊が加速する本道において、こうした動きにさらに拍車をかける施策といえよう。医療機関の経営を危うくし、医療提供体制にまで影響を及ぼすものであれば拙速の感は拭えない。本会ではこの結果をもとに保団連などを通じ、公的財政支援や準備期間の延長、一定規模以下の医療機関では従来通り紙での請求が認められるような改善・緩和策を関係各界に働きかけていく方針だ。
■アンケートに寄せられた意見から(抜粋)
・できれば義務化しないで頂きたい。どうしても義務化するならば、システム導入時の費用を厚労省で補助して頂きたい。
・義務化の費用を一方的に医療機関に負わせるのはいかがなものか?高齢の医師には診療所閉鎖を考える人も多いと聞く。国の政策で行うなら、保険者、国も一定額の負担をすべきでは?最低、助成金や金利のない貸付を行うべきだと考える。
・セキュリティーや誤送などのトラブルについての対応策を検討してほしい。情報漏れなど現在のオンラインの問題点をどう考えているのか教えてほしい。
・反対。何のためか理解できない。単なるIT産業の一助になるだけ?統制された医療に進む危険性あり。
・患者、医師には何のメリットもない。開業医潰しの為でしょうね。最近、開業医蔑視の風潮が広がっている事に危惧を感じています。
・平成23年4月を境に廃業する医院が激増するでしょう。両方の請求方法を認めるべきです。
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