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レセプト・オンライン化の概要と問題点
今年四月公布された厚生労働省令第一一一号は、紙レセプトを廃止し、平成二十三年から少数該当を除き、オンライン化のみとした。しかし、いまだ歯科はオンラインどころか、レセプト電算処理システムすら実現していない。
保団連は十月二十二日、レセプト・オンライン化に関する社保部・情報通信ネットワーク部合同学習会を開催した。講師に厚生労働省保険局総務課保険システム高度化推進室・岡田清弘室長補佐を招き、レセプト・オンライン化の概要の説明と事前質問への回答が行われた。この講演の内容を中心にレセプト・オンライン化の問題を解説する。
これからのスケジュール
平成二十年からは、段階的にオンライン請求に限定し、平成二十三年か四月からは、原則として全てのレセプトがオンライン化される。平成十八年度は七医療機関が試験的にオンライン化を実施している。十九年度は希望する医療機関を対象にするが、岡田室長補佐によると医療機関数をしぼって実施するとしている。現在、社保、国保などの審査機関を中心に受付方法等が検討協議され、受付に係る書式、手続き方法等については、年内または来年始めには出したいと述べた。
通信回線とセキュリティ
通信回線は、専用線によるISDNまたはIP−VPN(注1)を考えているが、IP−VPNが主流になりそうである。セキュリティに関しては、ISDNまたはIP−VPNともに外部からの侵入はできない閉鎖されたネットワークのため安全性が高いとしている。またレセプトデータは第三者に改竄されることを防ぐため、暗号化することを検討しているとした。
外部委託
件数の少ない医療機関、特に高齢のドクターなど自医院でレセプト・オンライン化に対応できない場合には、請求の代行が明示されている。現在のところ厚労省としては、請求の代行ができる団体は、医師会、歯科医師会、薬剤師会を考えているとした。その団体に保団連、各地の保険医協会、保険医会が相当するかについては明言をさけた。
歯科の状況
MOやFD等を使用したレセプト電算処理システムがいまだ実施不可能な歯科は、問題があることの認識を示した。歯科の対応の遅れに対し、保健医療福祉情報システム工業会医事コンピュータ部会は、これまで日本歯科医師会が旧厚生省の再三の呼びかけに対し、歯科においてはまだ時期が熟しておらず受け入れられないこととして決議し、打合せの席に就くことさえなかったと指摘している。また日歯連盟による献金問題もレセプト電算化の遅れに影響を及ぼしているとした。平成十七年に入りレセプト電算処理システム検討委員会の定例会議が開始したが、この遅れを取り戻すには、関係各位の大いなる努力が必要としている。岡田室長補佐は、平成二十、二十一年度には、歯科においてレセプト電算処理システムを開始したいとした。
レセスタ
レセスタのサポート費用に関する質問に対し、岡田室長補佐は、ヘルプディスクは、システムを開発したNTTデータに対し、一度のみ十五万円程度のサポート費用が必要であるとした。また、現在、レセプト電算処理システムを使用している医療機関は、そのデータをレセスタで変換する必要はなく、そのままのデータを転送することで良いとした。
オンライン化のインセンティブ、ディスインセンティブ
インセンティブ(注2)として、真っ先に今次改定で新設された電子化加算三点をあげた。次に、オンライン化によって、紙レセプトでは膨大な事務チェックを大幅に軽減できることや、支払期日を早めることが可能である等が紹介された。すでにオンライン化が実施されている韓国では、支払期日を四十日から十五日に短縮したことが大きなインセンティブとして働いている。
ディスインセンティブとしては、今のところ考えていないとしたが、オンラインのみしか受け付けないことが最大のディスインセンティブであろう。
事務費の削減・機械的審査
レセプト・オンライン化の目的は、事務の効率化とデータの活用としているが、その最終的な目的が「医療費適正化」という名の医療費削減である。レセプト審査に関しては、プログラムによる機械的審査は行わないと明言したが、機械的審査ならびに縦覧点検の強化は、十分に予測される。また図からもわかるように保険者にも電子データが渡されるため、保険者機能はさらに強化され、保険者による直接審査も現実味を帯びてくる。韓国では、オンライン化でなんと一五%の医療費が削減された。
まとめ
いまだ歯科ではレセプト電算処理システムも構築されていない状況で、そのさらに上をいくオンライン化の期限をも省令で定めるのは暴挙ともいえる。今後、さらに情報収集に努め、オンライン化に関して紙面を通じてお伝えしたい。
注1 IP-VPN : 通信事業者の保有する広域IP通信網を経由して構築される仮想私設通信網(VPN)のこと。
注2 インセンティブ : 広義には人や組織に特定の行動を促す動機づけ、誘因のこと。
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