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北海道保険医新聞より
解説
 

レセプトオンライン請求の義務化

 四月十日、厚生労働省令第一一一号により省令が改正され、レセプトのオンライン請求義務化が決定した。これは「医療制度改革大綱」にも述べられており、書面(診療報酬明細書使用)から、電算情報処理組織の使用による請求(オンライン)へと変更された。

レセプトオンライン請求とは
 レセプトを電子化し、電話回線またはインターネットを通じて審査支払機関あるいは保険者へ送るシステムをいう。その前段階として紙のレセプトを電子レセプトに変換するという電算処理をしなければならない。しかし、四月末で医科では一五%しか普及しておらず、歯科ではこの処理さえ未実施である。
 また、実施する場合には電子情報処理組織の使用、光ディスク等を用いた費用などの届出の書類を提出しなければならない

目的
 厚労省は医療保険事務のコストの大幅削減とレセプトのデータベース化、その疫学的活用により予防医療等を推進し、国民医療費を適正化することが目的としている。また、個人の健康情報を「生涯を通じて」活用できる基盤を作り、国民が自らの健康状態を把握し、健康増進に努めることを支援することなどを盛り込んでいる。つまり、「生活習慣病予防」を柱とした医療費の適正化である。

実施時期
 請求件数が少ない医療機関 表1を除き、平成二十三年三月三十一日までにすべての医療機関は病床数などに合わせ、決められた年の四月一日からオンライン請求に移行しなければならない 表2。

表1 請求件数の少ない医療機関
医 科 : 21年4月1日に現存するレセコンを使用していない。
21年4月1日から22年3月31日までの請求件数が1200件以下の病院、診療所、薬局。
歯 科 : 上記の条件で請求件数が600件以下の病院、診療所、薬局。

表2 
・400床以上の病院は20年。
・400床未満の病院でレセ電算を行っている所は21年。
・400床未満の病院でレセ電算を行っていない所は22年。
・レセコンのある医科診療所は22年。
・レセコンのない医科診療所は23年。
・歯科診療所はレセコンの有無に関わらず23年。
・レセプト枚数が極端に少ない医科・歯科診療所は25年。

罰則
 罰則の中で最も厳しい「請求を受け付けない」が適応される。その他にも追加費用を請求する、支払期日を遅くする、などが考えられる。

「レセスタ」とは
 レセコンからレセプト出力情報を取り出し、電子レセプトに変換するソフトウエアで厚労省が無償で提供する。ただし、ヘルプディスク費用(サポート料)は有料で、診療所の場合は年間十五万くらいの負担と計算されている。対応機種は大手レセコンメーカー七社(富士通・三洋電機・東芝・日本事務器・日本電気・NTTデータ)である。図1
今は医科のみが対象であり、歯科に対してはどうするのかは不明である。

セキュリティ
 厚労省はオンライン化の省令と同時に「セキュリティに関するガイドラインなどの策定について」を発表している。これには適切な対策が欠如したまま導入した場合にはデータの漏洩、消失および破壊、情報システムの停止など事務処理に多大な影響を与える可能性があるからである。特に医療関係は患者の氏名、傷病など慎重に取り扱わなければならない個人情報が多く含まれているので、その責任は重大である。

考 察
 医療関係者は膨大な量の紙によるレセプト請求が環境問題等に悪影響があることは理解している。しかし、レセコンは機種により価格差があり、その差は何百万にもなる。我々は医院の経営状態を考え、患者数により手書きにするかレセコンを導入するか判断を行ってきた。しかし、近年の保険改定はレセコン導入の拡大を図ろうとするかのごとく、レセコンを使用しなければ事務的な作業に時間がかかる内容になっている。
 厚生労働省令第一一一号には療養の給付費等の請求の代行の規定が設けられている。概要は「医師、歯科医師又は薬剤師を主たる構成員とする団体で、・・・中略・・・十分な社会的信用を有するものが療養の給付費等の請求の事務を代行する場合について準用する」としている。対象として医師会、歯科医師会等が想定されるが、会員・非会員の差別化に悪用される恐れが懸念される。
 電子デ−タ交換システムでのオンラインを行っている韓国では、患者それぞれに十三桁の総背番号が付与され、五年間の個人データを管理している。その利用については、三月二十七日の参院予算委員会で、小泉首相はレセプト電算化について「レセプト数年間十六億件のデータがまとまり、二〜三年分析する事で日本の医療の進むべき方向が打ち出されるとともに、どのような病気に対してどのような診療が行われているか調査しやすい」と指摘し、なぜオンライン請求なのかを図らずも露呈した形となった。
 また、セキュリティに関しても「機関の長」を決定し、責任を負わせようとしている。しかし、オンラインを義務付ける以上、漏洩があった場合はすべて厚労省の責任で対応するべきである。
 我々は患者の命を預かっているのであって、レセコンの管理をしているのではない。漏洩問題があるたびに刑事、民事の処分を受けるのであれば患者にも迷惑をかける。

まとめ
 我々医療人は患者のプラスになるものに対しては協力をおしまない。しかし、新しく行うことのすべてを医療機関に押し付けるような政策には断固反対の立場をとる。
 また、オンライン化された患者の情報が医療の発展のために利用されるように厳しく監視していくことが大事である。

省  令 : 法律、政令に基づき、各大臣(各省の長である大臣)が所管事務に関して制定する命令。法の委任がない限り、厳罰はつけられない。

厚生労働省令第111号 : 療養の給付、老人医療および公費負担に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生労働省令第36号)の一部を改定する省令。

機関の長:すべての責任を有する最高意思決定者


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