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<10.1改悪健保法実施阻止緊急集会 提言の全文>

北海道保険医会常任理事

入宇田 能順氏(医師)

当会の健保法改悪阻止に向けて史上最高の運動を
 「史上最悪の改悪案に対して史上最高の運動を」の名のもと、全国3000万、全国保団連119万、北海道百37万の署名数に象徴される国民的、道民的大運動をした。
 1、宣伝・学習、会員への取り組みでは、全会員の4割を超える会員連名署名1470名、患者署名史上最高の4万7217筆を集約した。また公開討論会、北海道総決起集会、抗議集会を連続的に開催し、学習会・出張説明会を社保協、市民ネットワ−ク、北海道消費者協会などと10回、1330名の参加で行なった。全会員とともに各学習会では「グラフで見る医療改革」も、合計6000冊配布した。ラジオ・新聞などマスコミを利用した意見広告実施し、街頭宣伝での、はがき署名付テッシュ配布では、署名486筆、返却はがき244通と多くの市民の怒りと当会への激励の言葉があった。
 2、道医・道歯、また札医・札歯と2度懇談し、集会への挨拶、メッセージをもらった。医療改革と診療報酬改定には反対の立場で一致し、懇談の継続を確認した。しかし共同声明・共闘は課題である。
 3、地元国会議員、医系議員への働きかけでつくられた関係を今後に生かすことが重要である。「そのとき医系議員は?地元議員はどう行動したか?」特に北海道選出議員(衆・参)の態度は注視すべきである。当会員アンケートでは、「千余名の会員うち、7割強が医系議員は除名覚悟で反対すべき、今後の選挙に指標とするが約9割」という結果であった。今後は与党議員も含めた国会要請活動は課題であるが、自民党支持の枠内での対応の限界と言う視点も重要である。
 4、他団体とは、社保協との集会参加、挨拶、メッセージなどの交流があった。共闘は次の課題となった。他に市民ネットワーク、北海道消費者協会との接触の機会をもてた。
 5、新聞などマスコミは、成立後「改革の痛み1兆5000億円」、「財布に重荷ジワリ」の見出しで、負担増の影響を注目した。医療・年金・介護の負担増が重なり3兆円超えるため、国民の関心が高く六割が反対、国会の傍聴席は満席であった。しかしマスコミの扱いは地味で、チアガール的との批判の声も出た。当会として会員の新聞投稿や、記者との懇談の課題が明らかとなった。

診療報酬再改定のさらなる活動に向けて
 診療報酬は、医療の質を規定する。診療本体がはじめて下げられた4月診療報酬改定は、その後の調査で、総点数・日数・件数とも減。特に整形外科、泌尿器科、外科が再診料の逓減制が強く影響した。厚労省はマイナス2.7%であるが、保団連調査ではマイナス6.1%と大きい。早くから当会をはじめ多くの団体が撤回・反対・再改定の声をあげた。歯科・医科新点数検討会、さらに10月改定検討会も行い、多くの参加者があり関心の大きさを示した。診療報酬改定の影響調査置き換えや、緊急アンケート活動をした。結果は、「昨年と今年の4〜6月の比較で回答803名のうち、収入減は7割以上、外来減は6割と多かった。そして2割が事業主勘定減、1割前後で職員・パート減、職員給与・6月賞与減での対策がなされている。また歯科100名、医科200名から経営の厳しさと、診療レベル維持での切実な声が寄せられた。
 再改定要求の180日超入院問題は、入院料の特定療養費化の除外規定として末期がんなど4項目が追加された。しかし保険はずし撤回、除外規定拡大をさらに要請する。手術施設基準問題は、北海道で札幌・旭川などに大病院が集中し、広大な地域がら厳しい条件である。その一部が緩和されたが、除外用件に専門医を導入し診療報酬での格差付けを図ったことは、学会認定医制度を利用した医療の統制に結びつくものとして警戒をする。日医の青柳副会長は、再診料の再改定は「国家予算に大きく影響する。-2.7%を超えた部分のみの要求」と述べたが、当会は予算の枠内での対応ではなく、抜本的な改革を要求していく。本日からの、10月改定は、「金持ち2割(老人10人に1人)・貧乏1割負担の老人選別」とも報道された。医療機関は、外総診廃止で院内処方の場合2割近い収入減、院外処方で4割減との調査結果や、内科は4月より影響大との声もある。青柳副会長の「影響調査してフォロー」発言を、厳しく見守りたい。厚労省は、高齢者の負担増は2000億円、受診抑制は2400億円と試算している。診療報酬改定の影響は、まだまだこれからである。

「抜本改革」の名のもとに新たな改悪
 従来のような国会の付帯決議でなく、法律付則に、基本方針を具体化する事項が盛り込まれ、手順、年次計画も明らかにしていることが特徴である。厚生労働省は、社会保険病院の見直し中間報告では、「特定医療法人化」、公的機能や経営改善の検証、全国54病院のうち2〜3割を削減するなどの内容が盛り込まれている。「医療提供体制の改革」中間まとめは、病院病床で医療法の「一般病床」「療養病床」に加えて、「急性期」「回復期リハ」「長期療養」「地域(在宅)」「終末期」など機能分化を促進する方向である。そして人員配置、診療報酬の逓減が基本的な狙いであるが、当面は一定数の病床を医療から介護に移すことが重点である。自民党も医療基本問題調査会で検討に入っている。また公明党、民主党、共産党などでも「医療政策」を議論中である。「総合規制改革会議」は、株式会社の医療機関経営参入、混合診療の解禁などを改めて提起し、規制緩和などを試行する「規制改革特区」の一環として「高度先端医療特区」構想を打ち上げた。医療では、25構想、そのうち7件が「混合診療」拡大関連である。当会はこの構想には反対の意志である。また坂口厚労相は、私案で医療保険を一元化し、高齢者医療制度は廃止の方向と公表した。一元化へのステップとして、国保を都道府県単位で統合、政管健保を都道府県ごとに分割、健保組合の整理・再編を行うとし、今年度中に政府・与党がまとめる医療制度「改革」の基本方針に反映させる考えである。厚労省、自民党の検討結果を受けて、年末には政府案をまとめる計画である。
医療「抜本改革」の名のもとに新たな大型の医療改悪が実施されるならば、(1)国民皆保険制度の空洞化が進行(2)保険給付の限定化や公的医療費の総額管理、「公民2階建」保険制度へ大きく道を開く(3)医療内容と医療提供体制のリストラが徹底される、ことになろう。よって当会は憲法第25条に基づく社会保障としての皆保険制度の拡充を基本に、あるべき医療の将来像を展望した医療制度改革が一層重要となっていると考える。

北海道保険医会常任理事

田辺 隆氏(歯科医師)

小泉構造改革は「弱気をくじき、強気を助ける」
 今回の改悪法の内容は、患者負担増に止まらず、その附則では医療をアメリカ流の市場競争原理に委ね、国の公的責任を放棄する「改悪」の実行が謳われている。株式会社の医療機関経営参入や混合診療の解禁、保険者機能の強化などが取りざたされ、政府は、年末までに「改革」案をまとめるとしている。
 さらに、来年度の予算編成に向けては、社会保障費の自然増分を2200億円カットするために、年金、介護、雇用保険などで1兆数千億円の給付減・負担増が計画されており、医療改悪の1兆5100億円を含めると、その総額は3兆2400億円にものぼる。
 これだけの負担増を国民に強いながら、小泉内閣は大企業向けに1兆円を超える法人税減税先行実施を表明している。そしてその財源として、所得税の各種控除の廃止や赤字の中小企業にも増税となる法人事業税への外形標準課税の導入を検討している。
 平成9年の橋本内閣の9兆円負担増が不況を深刻にしたことは記憶に新しいところであるが、このとき国民の雇用者所得は年間で6.3兆円増えている。ところが、平成13年度の雇用者所得は4.1兆円も減っている。そこに全体で5兆7000億円近い負担増を課せば、家計は壊滅的な打撃を受け、国民経済に与える影響も、平成9年の比ではないものと予想される。
 小泉内閣の掲げる「構造改革」は、まさに「弱きをくじき、強きを助ける」ものに他ならない。社会保障の改悪は、将来不安を拡大し、個人消費を抑制している。小泉内閣発足以降の1年数ヶ月の実績が如実に示しているように、「改革なくして成長なし」どころか、内需を冷え込ませる「改革」によって一層景気が悪化しているのが実態である。
 本日から高齢者は窓口負担1割または2割に、高額医療費は償還払い制になり、このままいくと来年4月から社保本人は窓口負担3割に、保険料も大幅な引き上げということになる。
 
経済最優先の医療費抑制策
 昨年1月から実施された70歳以上高齢者の1割負担導入によって、患者数や医療内容にどう影響を受けたかを調査した老健法影響アンケート結果によれば、外来請求件数が減ったと答えた医療機関は54.9%と半数を超え、患者負担増が原因と思われる受診中断があったとの回答が19%におよんでいる。一方、来年4月からの健保3割負担実施による影響はどうなるのか。健保本人1割負担が導入された昭和59年では、前年と比較しての受診率を見てみると実に82%に低下しており、2割負担が導入された平成9年には、受診率を落ち込んでいる上に、さらに88%に低下した。
 こうした負担増とそれによる受診率の影響から、来年4月から健保本人3割負担が実施されれば、医療への影響ははかりしれない。今までにない受診抑制、治療中断そして疾病の重症化を招くことは間違いないものと思われる。
 4月に行われた改定も、従来と異なったものであり、初のマイナス改定であることはもちろん、最初に医療費削減率があり、そして格差を付けての点数配分が、医学的根拠の全くない状態でなされた。つまり有無を言わせぬ経済優先の医療費抑制策がまずありきなのである。国が国民に保障する公的保険給付を限定、縮小することは、医療費を保険でという皆保険制度を空洞化させ、その一方保険外負担・差額徴収といった混合診療を拡大、患者のフリーアクセスを阻害し、十分な医療を受けることを困難にさせるものといえよう。
 これらのことは、必然に病状の悪化、重症化を招くものであり、まるで貧乏人は安い医療で我慢しろと言うばかりである。政府は国の責任としての社会保障、医療保障から距離を置こうとしており、小泉内閣は大きな過ちを犯そうとしている。
 
国民にどれだけアピールできるかが鍵
 秋から来年の春にかけては、こうした小泉内閣の政策と政治姿勢に対する国民の批判が大きく高まって行かざるを得ない。医師会、歯科医師会でも今回の暴挙を契機に、これまでの政治活動のあり方を見直す声が相次いでおり、このまま流れに任せていては我々保険医も後生のそしりを受けることは間違いない。黙っていてはいけない。廃案には追い込めなかったが健保改悪阻止で小泉内閣と与党をぎりぎりまで追い込んだ世論と我々の運動に確信を持って、患者負担増の撤回と診療報酬再改定、新たな医療改悪阻止の運動を全国に広げ、国民が求める安心・安全の医療保険制度、診療報酬体系を提言、構築することを強く訴え続けるべきである。
 改定健保法の実施を阻止する課題は困難を伴うが、政治・経済の現実は非常に流動的であり、短期間に集中した取り組みを行えば、必ず成果はあるものと考えられる。国会論議の中で、政府側がまともな答弁ができなかったことを考えれば、国民の側に被害の実態をどれだけアピールできるかが鍵となる。小泉内閣の横暴を許さない世論を高め、患者負担増を撤回させ、新たな医療改悪を阻止しようではないか。国民皆保険制度を解体へと引きずり込む「聖域なき構造改革」に歯止めをかけ、小泉内閣退陣に向け、今後とも会員の皆様のご協力を何卒お願いしたい。

 


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